理念
心不全・心筋症専門医制度 理念文
制度設立の背景
我が国において心不全は、医療・介護双方にまたがる主要な健康課題である。急性期医療、慢性期管理、在宅療養、さらには緩和ケアに至るまで、切れ目のない多面的な対応が求められるなかで、心不全診療の質と均てん化を図ることが喫緊の課題となっている。
とくに、心不全の本質的病態が「心筋そのものの構造的・機能的障害」に由来することに鑑みると、心筋に対する深い理解に立脚し、かつ臨床現場で多職種と協働しながら総合的な対応ができる医師の育成と認定が求められている。
制度の理念
本制度は、心不全診療に関する科学的根拠に基づいた専門的能力を備え、患者の生活・社会背景をふまえた総合的医療を担う医師を認定することを目的とする。
とりわけ本制度では、以下の資質を備えた医師を心不全専門医として位置づける:
- 心筋症や心不全の病態を理解し、個々の症例に応じた診療方針を立案・実行できる
- 心筋の構造・機能、代謝、Ca handling、ゲノム異常などに関する基礎的知識を有し、薬物治療に加え、デバイス治療、運動療法、栄養管理、緩和ケアなど多様な非薬物的アプローチにも応用できる
- 医療チームの一員として、多職種と連携しながら診療の質を高められる
- 心不全患者の生活や価値観をふまえた、地域に根ざした医療を実践できる
- 将来的には、心筋に関する先端的知見や新規医療技術の臨床実装にも貢献しうる
制度の社会的意義
本制度により、各地域・各医療圏において心不全医療の「知と実践の拠点」が形成されることで、心不全医療の質の向上と地域格差の是正が期待される。また、学会として心不全専門医を継続的に育成・評価する仕組みを整備することにより、社会に対する説明責任と信頼性の向上にも資するものである。
2026年4月3日
日本心不全学会 理事会承認
